Canvaって、なぜ便利なんでしょうか。
ふだん使っている方なら、すぐ答えられると思います。
きれいなデザインのひな形がたくさんあって、写真やイラストの素材があって、それをマウスで置いていけば、それらしい資料ができあがる。しかも操作が直感的で、迷わない。
つまり、テンプレートと素材がたくさん入っていて、人が入力しやすいように、よく作り込まれているからなんですよね。
PowerPointも同じです。作りやすい工夫に加えて、こちらは人に見せるための仕組みも持っています。スライドショーで順番に映す。アニメーションで動きをつける。人前で発表するための道具立てです。
便利ツールの仕事は、突き詰めると2つしかない
こうして眺めてみると、便利ツールの仕事って、突き詰めると2つしかないことに気づきます。
[便利ツールの仕事] ① 人が、作りやすくするため (テンプレート・素材・直感的な操作) ② 人に、見せやすくするため (スライドショー・アニメーション・きれいな表示)
どちらも「人が手を動かす」ことを前提にした工夫です。
人がマウスで置きやすいように。人がキーボードで打ちやすいように。人が発表しやすいように。ツールというのは、いわば「人の手のための道具」だったんです。
——ここからが本題です。
この2つ、AIで代用できてしまう
この2つ、いまはAIで代用できてしまいます。
まず「作る」方。
気に入ったテンプレートや素材を、ツールの中ではなく自分のフォルダに置いておく。そして「この素材で、この見た目で、◯◯向けに作って」とAIに頼む。
[これまで] Canvaを開く ↓ テンプレートを探す ↓ マウスでポチポチ置いていく ↓ 文字を打ち替える [これから] 素材とお手本を、自分のフォルダに置いておく ↓ 「この素材で、この見た目で、◯◯向けに作って」 ↓ できあがりを見て、直してほしいところを伝える
マウスでポチポチ置いていた作業が、ひとことの日本語に置き換わります。
「見せる」方も、AIが作れます。スライドはもちろん、パワーポイントのスライドショーのような画面をHTMLで作ってもらうこともできます。動きのある表示も「作って」と頼めばいい。
実際、私はいま、自分の講座の資料をこの方法で作っています。その話は「自分の講座の資料を、一行も自分で書かない時代」という記事に詳しく書きました。
ホームページのWordPressも、実は同じ話
この構図、資料づくりだけの話ではないんです。
ホームページを作るWordPressも、実は同じです。
WordPressは「人がホームページを直感で作りやすくするため」のツールです。管理画面があって、テーマがあって、プラグインがあって。そして最後に出力されるのは、HTMLやPHPといった、Webで表示できるファイルです。
だったら——WordPressを通さずに、AIに直接HTMLを作ってもらえばいいんです。出てくるものは同じです。
実際、いまご覧いただいているこの会社のホームページも、そうやって作りました。WordPressは使っていません。AIに「こういうページにしたい」と伝えて、HTMLのファイルを作ってもらっただけです。
最後に残るのは、「ただのファイル」
気づいてほしいのは、この構図です。
[どのツールも、最後に出てくるのは]
Canva → スライドや画像の「ファイル」
PowerPoint → スライドの「ファイル」
WordPress → HTMLの「ファイル」
ツール = それを人が作りやすく・見やすくするための
「人の手のための道具」
どのツールも、最後に出てくるのは「中身のファイル」です。
ツールは、そのファイルを人が作りやすく・見やすくするための道具でした。
そして、手を動かすのがAIになった今、この道具たちは少しずつ役目を終えていきます。
「いますぐやめよう」という話ではなくて
誤解のないように言っておくと、これは「いますぐCanvaやWordPressをやめよう」という話ではありません。
使い慣れたツールで速く作れるなら、それでまったく問題ないです。私も、道具は「いま自分が一番速く動けるもの」でいいと思っています。
ただ、役目が変わっていく、というのは知っておいて損がないと思うんです。
そして、ここが大事なところなんですが——ツールの中に貯めてきたものは、無駄になりません。
お気に入りのテンプレート、よく使う素材、過去に作った資料。それらを自分のフォルダに持ってくれば、そのままAIに渡せる素材になるからです。積み上げてきたものは、ちゃんと持ち運べます。
残るのは、素材と頼み方
だから、これから大事になるのは、ツールの操作を覚えることではありません。
[ツールが変わっても、残るもの] ① 自分の素材 (テンプレ・お手本・元ネタを、手元のフォルダに) ② 頼み方 (「この素材で、この見た目で、誰向けに」)
自分の素材を手元に持っておくこと。そして、頼み方。
この2つは、ツールが変わっても、AIが進化しても、あなたのものとして残ります。
新しいツールが出るたびに操作を覚え直す、という繰り返しから、そろそろ降りられるのかもしれません。
おわりに
「え、まだCanvaで作ってるの? AIで作るんだよ」
——そんな会話が普通になる日は、たぶん、そう遠くありません。
そのとき慌てなくていいように、今日からできることは、意外と地味です。気に入ったテンプレートや素材を、自分のフォルダにひとつ持ってきてみる。それだけで、準備は始まっています。
道具は変わる。素材と頼み方は、あなたのもの。
同じシリーズで、講座の資料を一行も自分で書かない話、5年寝かせた構想が1週間で形になった話、AIに任せるところと人がやるところの役割分担も書いています。
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