ホームコラム / 第10回

ツールの正体
〜CanvaもPowerPointも、最後に残るのは「ただのファイル」〜

Canvaって、なぜ便利なんでしょうか。

ふだん使っている方なら、すぐ答えられると思います。

きれいなデザインのひな形がたくさんあって、写真やイラストの素材があって、それをマウスで置いていけば、それらしい資料ができあがる。しかも操作が直感的で、迷わない。

つまり、テンプレートと素材がたくさん入っていて、人が入力しやすいように、よく作り込まれているからなんですよね。

PowerPointも同じです。作りやすい工夫に加えて、こちらは人に見せるための仕組みも持っています。スライドショーで順番に映す。アニメーションで動きをつける。人前で発表するための道具立てです。

便利ツールの仕事は、突き詰めると2つしかない

こうして眺めてみると、便利ツールの仕事って、突き詰めると2つしかないことに気づきます。

[便利ツールの仕事]

① 人が、作りやすくするため
   (テンプレート・素材・直感的な操作)

② 人に、見せやすくするため
   (スライドショー・アニメーション・きれいな表示)

どちらも「人が手を動かす」ことを前提にした工夫です。

人がマウスで置きやすいように。人がキーボードで打ちやすいように。人が発表しやすいように。ツールというのは、いわば「人の手のための道具」だったんです。

——ここからが本題です。

この2つ、AIで代用できてしまう

この2つ、いまはAIで代用できてしまいます。

まず「作る」方。

気に入ったテンプレートや素材を、ツールの中ではなく自分のフォルダに置いておく。そして「この素材で、この見た目で、◯◯向けに作って」とAIに頼む。

[これまで]
Canvaを開く
   ↓
テンプレートを探す
   ↓
マウスでポチポチ置いていく
   ↓
文字を打ち替える

[これから]
素材とお手本を、自分のフォルダに置いておく
   ↓
「この素材で、この見た目で、◯◯向けに作って」
   ↓
できあがりを見て、直してほしいところを伝える

マウスでポチポチ置いていた作業が、ひとことの日本語に置き換わります。

「見せる」方も、AIが作れます。スライドはもちろん、パワーポイントのスライドショーのような画面をHTMLで作ってもらうこともできます。動きのある表示も「作って」と頼めばいい。

実際、私はいま、自分の講座の資料をこの方法で作っています。その話は「自分の講座の資料を、一行も自分で書かない時代」という記事に詳しく書きました。

ホームページのWordPressも、実は同じ話

この構図、資料づくりだけの話ではないんです。

ホームページを作るWordPressも、実は同じです。

WordPressは「人がホームページを直感で作りやすくするため」のツールです。管理画面があって、テーマがあって、プラグインがあって。そして最後に出力されるのは、HTMLやPHPといった、Webで表示できるファイルです。

だったら——WordPressを通さずに、AIに直接HTMLを作ってもらえばいいんです。出てくるものは同じです。

実際、いまご覧いただいているこの会社のホームページも、そうやって作りました。WordPressは使っていません。AIに「こういうページにしたい」と伝えて、HTMLのファイルを作ってもらっただけです。

最後に残るのは、「ただのファイル」

気づいてほしいのは、この構図です。

[どのツールも、最後に出てくるのは]

Canva       → スライドや画像の「ファイル」
PowerPoint  → スライドの「ファイル」
WordPress   → HTMLの「ファイル」

ツール = それを人が作りやすく・見やすくするための
          「人の手のための道具」

どのツールも、最後に出てくるのは「中身のファイル」です。

ツールは、そのファイルを人が作りやすく・見やすくするための道具でした。

そして、手を動かすのがAIになった今、この道具たちは少しずつ役目を終えていきます。

「いますぐやめよう」という話ではなくて

誤解のないように言っておくと、これは「いますぐCanvaやWordPressをやめよう」という話ではありません。

使い慣れたツールで速く作れるなら、それでまったく問題ないです。私も、道具は「いま自分が一番速く動けるもの」でいいと思っています。

ただ、役目が変わっていく、というのは知っておいて損がないと思うんです。

そして、ここが大事なところなんですが——ツールの中に貯めてきたものは、無駄になりません。

お気に入りのテンプレート、よく使う素材、過去に作った資料。それらを自分のフォルダに持ってくれば、そのままAIに渡せる素材になるからです。積み上げてきたものは、ちゃんと持ち運べます。

残るのは、素材と頼み方

だから、これから大事になるのは、ツールの操作を覚えることではありません。

[ツールが変わっても、残るもの]

① 自分の素材
   (テンプレ・お手本・元ネタを、手元のフォルダに)

② 頼み方
   (「この素材で、この見た目で、誰向けに」)

自分の素材を手元に持っておくこと。そして、頼み方。

この2つは、ツールが変わっても、AIが進化しても、あなたのものとして残ります。

新しいツールが出るたびに操作を覚え直す、という繰り返しから、そろそろ降りられるのかもしれません。

おわりに

「え、まだCanvaで作ってるの? AIで作るんだよ」

——そんな会話が普通になる日は、たぶん、そう遠くありません。

そのとき慌てなくていいように、今日からできることは、意外と地味です。気に入ったテンプレートや素材を、自分のフォルダにひとつ持ってきてみる。それだけで、準備は始まっています。

道具は変わる。素材と頼み方は、あなたのもの。

同じシリーズで、講座の資料を一行も自分で書かない話5年寝かせた構想が1週間で形になった話AIに任せるところと人がやるところの役割分担も書いています。

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